#CENTREの本棚

『極夜行』
角幡 唯介 著

CENTREの本棚を眺めていると、「ひとり極夜を旅して、四ヶ月ぶりに太陽を見た。」この言葉が目の前に飛び込んできました。
毎朝太陽が昇り、夕方沈んでいき、そしてまた明るい朝を迎える。そんな毎日を当たり前のよう過ごしていますが、本書は太陽が昇らない「極夜」の中、グリーンランドとカナダの国境付近を四ヶ月かけて探検した著者の冒険の記録が記されています。
極夜とは南極圏や北極圏で起こる太陽が昇らない現象で、三〜四ヶ月から六ヶ月間は闇に包まれます。何も見えない闇の中、そして極寒の世界で著者が体験した冒険の全てが臨場感いっぱいに書かれ、光のない極夜の世界をまるで冒険家になったような気持ちで追体験する思いでした。
闇の中での冒険は視覚がほぼなくなり、自分自身の経験や感覚全てを研ぎ澄まし、進んで行くことになります。幾度となく困難が訪れますが、真っ暗闇の中で自分自身と深く深く向き合いながら進み続ける姿に、心が揺さぶられました。絶対にやり遂げるという強い気持ちを持つこと、これはいつでも自分を奮い立たせてくれるものだと感じさせられた一冊です。

極夜の世界、是非体験してみませんか？

CENTREスタッフ 中村