今回のコラムは、セックスレス解消のために夫婦カウンセリングを受けたご夫婦の２回目のカウンセリング場面についてです。

一回目まではこちら
「妻にセックスレスを拒否された夫がカウンセリングを勧めた事例」
https://nagoya.mypl.net/naka/shop/00000373498/news?d=2731114

「セックスレ解消のための夫婦カウンセリング①」
https://nagoya.mypl.net/naka/shop/00000373498/news?d=2731677

まず、カウンセラーはそれぞれに前回のカウンセリングからの変化や感じたことなど、何でもいいから話してほしいと伝えました。

すると、夫は、妻の負担が軽くなるように家事育児の分担を頑張ったこと、そうは言っても急に気持ちが変わるわけではないので、少し様子を見ているような状況であると述べました。

一方、妻は、浮かない顔をしつつ、確かに夫は以前より家事育児を頑張ってくれているが、それで夫に対する気持ちが変わる気がしないと述べました。

そこでカウンセラーは、妻に対し、「セックスの問題だけにかかわらず、現在のご主人への気持ちを教えていただけますか。」と尋ねました。そうしたところ、妻は少し考え込み、以下のように話しました。

妻：実は、私もずっとそのことを考えていました。少なくとも、子どもを作ったわけですから、数年前は夫とセックスしてもいいと思っていたはずです。でも、その気持ちがどうして変わってきたのか。そんなことを考えました。

そうして妻から語られたのは、産前産後の夫のモラハラのような言動でした。妻がつわりでしんどいのに「病気じゃないんだから、いつまでも寝ていても仕方がないんじゃない？」と冷たく言い放ったり、産後だからゆっくりしたいとお願いしているのに、夫の両親が上京するのでもてなせと言ったり。

妻：それに、家事・育児については、いくら今改善してもらっても、過去の辛さって消えないんです。子どもが生まれてから１年間くらい、本当にしっかり睡眠をとることができなくて。それなのに、夫は土日もあまり手伝ってくれなかったんです。土日のどちらかでもいいから、朝ゆっくり寝かせてほしいとお願いしたこともありますが、俺は働いてるんだと主張され、反論できませんでした。

カウンセラー：そうだったんですね。過去の辛かった気持ちが重なって、今の現状があるのですね。

夫：確かに、そんな風に言われると、僕が悪かったと思います。ただ、僕自身も初めて子どもをもちますし、仕事もしている中で精いっぱいやっているつもりでした。それに、今いくら改善していても、過去の辛さは消えないと言われてしまうと、一体僕はどうしたらいいのでしょうか。

カウンセラー：ご自身は奥様にどんなお気持ちをお持ちですか。

夫：もちろん愛しています。可愛い子どもを産んでくれたし、子育てもがんばってくれています。いつも帰ると、あったかいごはんを作って待っていてくれますし、自慢の妻です。

そう語る夫に対し、カウンセラーが妻にしてあげたいことは何かと尋ねると、夫は言葉に詰まりました。

夫：してあげたいことですか・・・。そうですね・・。ここ最近頑張っているように、子育てや家事も引き続き手伝いたいですし、家族や夫婦で出かける楽しい時間も持っていきたいと思います。そうすることで、夫婦円満にもつながるかなと思うので。

妻：なんか、いつもずれているんですよね・・。例えば、子育てや家事を手伝ってくれるのはいいのですが、私のお願いとはちょっと違って・・・。私は、夫が子どもを連れて外に遊びに行ってくれると、その間に家を片付けられたり、もしくはゆっくり過ごしたりできるので嬉しいのですが、夫はそれはやってくれず、私と子どもが遊びにいくのについてくるだけなんです。家事も、ひとりで夕飯を作ってくれたりするとありがたいのですが、私が作っているのを横で「手伝うよ」と手助けをしてくれるだけで・・・。
贅沢を言ってはいけないのかもしれませんが、やっぱり私の負担はあまり減らなくて・・・。

夫：そんな言い方はないんじゃないか。俺は良かれと思ってやっているのに。

カウンセラー：ちょっと私の意見も言っていいでしょうか。少しきつい言い方になるかもしれませんが、ご主人の「やってあげていること」は、ご自身がやりたいことであって、奥様が望んでいることと違うのではないでしょうか。育児や家事を手伝ってほしいと仰った背景には、おそらく「自分の時間がほしい」といった気持ちがあると思うのですが、ご自身には「夫婦円満」ひいては「セックスレス解消」という目的があるので、ついつい夫婦で何か一緒にするというお手伝いになっているのではないでしょうか。

この指摘を受け、最初は憤っていた夫ですが、夫はとても率直で正直な面もあり、しっかりと自分でも考えてみたいという結論になりました。

こうしたカウンセリングを繰り返す中で、夫婦は、セックスレスをすぐに解消するようなアプローチをとるのではなく、夫が妻の気持ちに寄り添うこと大切にしていきました。

カウンセリングの経過の中で、すぐに問題が解消することはありませんでしたが、妻の表情は徐々に明るくなり、夫が自分を大切にしてくれていると感じると話してくれるまでになりました。

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いかがだったでしょうか。

セックスレスの問題は簡単には解消されませんが、背景には互いへの不満や過去の軋轢などが隠されていることが少なくありません。

セックスそのものだけに焦点を当てるのではなく、過去から未来にわたっての夫婦の関係性を整理することで、お互いへの感情が改善されることがあります。

性の問題は、夫婦にとってとても大切な話題です。

ご夫婦だけで話が難しいという場合はぜひ夫婦カウンセリングをご利用ください。

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